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ユーベルティンの計略

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   かつて、ユーベルティンも黄金制議会の一員であった。善として生きることに飽きてしまった彼女にとって、もはや議会での政治的行いを熱意を持って遂行していく姿勢はなくなていた。  その原因は、彼女が生まれる前から蔓延っていた底辺の者たちを視界に入れない叡智主義の独尊だ。これは、自分たち機械人以外の種族、吸血鬼たちはもちろんのことラミアにサハギンにカエルのようなそれなりの知恵を持つものや、昆虫や恐竜ような獣たちのことも指した。 彼女の生まれや育ちを知る者にとっては、あの行いはよくよく納得のいくものだ。    それが根ざすべく場所を見つけたのは真夜中の森林の上空。まぶしさすら感じる月の夜のことだった。    ビライアテクスより西のカノバンは、旧世代の機械人たちの暮らす土地で、ガラクタを捨てる場所という一般論が持たれるようなこともある。  ユーベルティンは気に入らないものを壊してはつなげ直すことをしょっちゅうままごとのようにやっていた。それが、生きているか否かにかかわらず。  彼女の生い立ちを知る者はよもや少ないが、彼女がまだ捨て子だったことを知る1人にオムバラがいる。善人ではないが、いい政治家の彼が後見人とあらば、世間はそれなりにうまく育つだろうと思っていたに違いない。  サイクスを生み出すためにユーベルティンは何を材料に犠牲を払ったのだろうか?  あのときの膨大な物質とエネルギーの凝縮によって、にわかには信じがたい、いや想定の範囲外の出来事が起こったのだ。  当のユーベルティンさえ炭か灰の残りかすだとも思ったのか、その存在に気づきもせずに。  ラミアのユーベルティンとエボイオは、部族に伝わる秘儀と秘術の使い手で、守りてとしての役目をまっとうする際に襲撃者である吸血鬼たちの度肝を抜いたことがあった。草原をひた走る集団を利用したことには違いないが。              

とある次元のほとり(マジックザギャザリング改変)

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   カウラン岬に打ち寄せる波しぶきを見ながら、若い亜人の男女は語らいあっていた。  頬ずる目線のさきに、普段では到底見慣れぬ泡吹いた一団がゆらゆらと岸辺に押し寄せているではないか。                                          泡にしては大きすぎるし、恐竜の卵にしても大きすぎる。 彼女が見ているものは、単なる泡ではなかった。 いや、泡ですらないのかもしれない。                                                             そんな折、最初に発見した彼らを差し置いて、虹生まれの港町ではじめにそれに触れたのは、奇行の常連ペダトロであった。    泡沫に弾けて割れた中から現れた部分は、金属であろうか? 丸みのある何かが瞬発的に転がるように落ちてくる。  それを皮切りにしたかのように、他の泡も次また次にとはじけていった。 中にはガラクタにしか見えないものもあれば、なにやら旨そうなものが入っているものもある。        アマターユとエボイオの二人にもその光景が目に入ったのは言うまでもない。  ほかの割れていない泡は数えるくらいしかなかったが、この事態が彼らには、いや先方の金属人にとっても特異な状況だった。  しかし、この情景を見ていたのは彼らだけではなかった。  半島の内陸にいくつかの街がある。そこに潜む夜の住人が、めずらしく岸辺においでになっていた。     「」 「」  そこはたくさんの交易が盛んに行われ人々の活気であふれていた都市の一角。それを覚えている人の世代はもうなく。代わりに吸血鬼たちが人を家畜にして優雅な暮らしをして...