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ユーベルティンの計略

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   かつて、ユーベルティンも黄金制議会の一員であった。善として生きることに飽きてしまった彼女にとって、もはや議会での政治的行いを熱意を持って遂行していく姿勢はなくなていた。  その原因は、彼女が生まれる前から蔓延っていた底辺の者たちを視界に入れない叡智主義の独尊だ。これは、自分たち機械人以外の種族、吸血鬼たちはもちろんのことラミアにサハギンにカエルのようなそれなりの知恵を持つものや、昆虫や恐竜ような獣たちのことも指した。 彼女の生まれや育ちを知る者にとっては、あの行いはよくよく納得のいくものだ。    それが根ざすべく場所を見つけたのは真夜中の森林の上空。まぶしさすら感じる月の夜のことだった。    ビライアテクスより西のカノバンは、旧世代の機械人たちの暮らす土地で、ガラクタを捨てる場所という一般論が持たれるようなこともある。  ユーベルティンは気に入らないものを壊してはつなげ直すことをしょっちゅうままごとのようにやっていた。それが、生きているか否かにかかわらず。  彼女の生い立ちを知る者はよもや少ないが、彼女がまだ捨て子だったことを知る1人にオムバラがいる。善人ではないが、いい政治家の彼が後見人とあらば、世間はそれなりにうまく育つだろうと思っていたに違いない。  サイクスを生み出すためにユーベルティンは何を材料に犠牲を払ったのだろうか?  あのときの膨大な物質とエネルギーの凝縮によって、にわかには信じがたい、いや想定の範囲外の出来事が起こったのだ。  当のユーベルティンさえ炭か灰の残りかすだとも思ったのか、その存在に気づきもせずに。  ラミアのユーベルティンとエボイオは、部族に伝わる秘儀と秘術の使い手で、守りてとしての役目をまっとうする際に襲撃者である吸血鬼たちの度肝を抜いたことがあった。草原をひた走る集団を利用したことには違いないが。