とある次元のほとり(マジックザギャザリング改変)
カウラン岬に打ち寄せる波しぶきを見ながら、若い亜人の男女は語らいあっていた。
頬ずる目線のさきに、普段では到底見慣れぬ泡吹いた一団がゆらゆらと岸辺に押し寄せているではないか。
そんな折、最初に発見した彼らを差し置いて、虹生まれの港町ではじめにそれに触れたのは、奇行の常連ペダトロであった。
泡沫に弾けて割れた中から現れた部分は、金属であろうか? 丸みのある何かが瞬発的に転がるように落ちてくる。
それを皮切りにしたかのように、他の泡も次また次にとはじけていった。
中にはガラクタにしか見えないものもあれば、なにやら旨そうなものが入っているものもある。
アマターユとエボイオの二人にもその光景が目に入ったのは言うまでもない。
ほかの割れていない泡は数えるくらいしかなかったが、この事態が彼らには、いや先方の金属人にとっても特異な状況だった。
しかし、この情景を見ていたのは彼らだけではなかった。
半島の内陸にいくつかの街がある。そこに潜む夜の住人が、めずらしく岸辺においでになっていた。
「」
「」
そこはたくさんの交易が盛んに行われ人々の活気であふれていた都市の一角。それを覚えている人の世代はもうなく。代わりに吸血鬼たちが人を家畜にして優雅な暮らしをしている負の遺産となった都市。
これを胸にしまっておけるような者ではない。楽しむように取り引き、いや脅迫してでも恍惚心を得ようとする連中だ。
木々のしげる木陰からまた別の客もこそこそしているようだし。
「ドォウリャァァ~」
「こぉーのぐらいのこたー、できんといかんよな~?」
「お恵みか、手傷を負うほうがいいか、よ~く考えろよ?」
「」
カウランからオルブロフまでは魚人たちの生息地域だが、そこを逸れると大いなる昆虫の這いずる足音や羽ばたきがしばしば聞こえるようになる地域に出くわす。
精霊術を扱うキノコ頭の種族の棲み処もまた、そんな場所にあるのだ。
古い時代、その栄華で最も煌めいていた錬金術の一つ、夜空を流れる星の一欠片は人々の心をはずませたことだろう。
呆けた老骨の死者は、古いとても古い書物や文献にかつてこう名を残している。
ネビニラルと。
「あの血を飯にする連中がこんなにも蔓延してしまっているとは、驚いているところだよ。
それ以上に、そうなるまでの出来事をほとんど覚えていないことのほうがもっと驚きだがね。わたしになにが起きたのか説明してくれティモンティティ」
「わたくしは昨日のことのように思い出せますぞ。あなた様が円盤を回したのは、もう400年以上前のことでございましたか。
そうなさったのは、あなた様と懇意にしていた者のせいでございます。
覚えてなさらないというのでしたら、その名を聞けば思い出すはずです。・・・石膏面のユーベルティンを!」
ティモンティティのおしゃべりは健在である。ネビニラルは、そのことをはたと思い出し、友情を築けなかった寂しさが胸を覆うのだった。
執政と呼ばれてはいるが、もはや都と言える現状ではないのはいまを生きている者たちからすれば、当たり前の昔ばなしだ。
とは言え、民の子孫が暮らしている区画はところどころに点在する。
外の暗い集落には吸血鬼や尊大な野生地帯の獣らから非力な民を守る方法、それは都の侵入経路には幾つもある。
ティモンティティが外に用事がある間、中将がその代わりを果たしている。
【 ルール:天秤は最初は平行からはじまり、平行時は効果はない。殉教側・増悪側・生体系・世論はそれぞれ同種の方向に傾きけば、その系統の以下の3つのうちから1つを選ぶ。対向側へ傾けば1段戻る。最大4段階まで傾くことができる。片方4段階目まで傾ききったらその間ルールが適応される。4段階目まで傾ききっても逆側に戻れば、ルールは一旦解除される。敗北は即ゲーム終了。】
そして、円盤には他にも使い道がある。ユーベルティンがその使い方を解明したなら、自分のまえに現れるであろうことも容易に予想がつく。
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